物理のエッセンスの電磁気編コンデンサーの問題 37* について解説します。
エネルギーの原理を使って解いていきます。
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EX2の問題解説
物理のエッセンスの電磁気編 P65 の 37* の問題を参照してください。
この問題は「動画解説エッセンス コンデンサー EX2 64ページ」の続きです。
まずは、EX2をしっかり学習してください。
EX2は以下のページで解説しています。
動画解説
テキスト解説
問題概要:電荷をためたコンデンサーが電池から切り離された上で金属板を抜かれます。
この問題はその時の外力のする仕事 $W_2$ を求めるものです。
EX2では上の左の図のコンデンサーに貯められた電気量が、$Q=\dfrac{4}{3}CV$ と求められました。
この電気量は金属板を抜く前後で変わりません。(図のコンデンサーは共に孤立しており電荷の逃げ場がありません)
つまり上の図では両方のコンデンサーともに$Q=\dfrac{4}{3}CV$ の電気量を保持しています。
補足:このとき電池を外しているのでコンデンサーの電圧は金属板を抜く前後で変化します。
EX2のように電池が接続されていれば、コンデンサーの両極板の間の電圧は電池電圧に等しくなります。
電圧というのは +1 C の電荷が移動する時のエネルギーや仕事で示されるものです。
上の図では例えば下側の極板から +1 C の電荷を上の極板まで運ぶための仕事を考えてみればその電圧がわかります。37*の問題では電池はなく、したがって金属板を抜いても極板上の電荷も $Q=\dfrac{4}{3}CV$ で変化しません。
つまり、コンデンサー内の空間における電場はどちらも等しくなります。
なぜなら、電場というものは電気力線本数で考えられるものですが、電荷 $Q$ が同じであれば同じ電気力線本数になるからです。しかし、挿入された金属内の電場は 0 になります。
そうすると金属板内で電荷を動かす時の仕事は 0 になります。(電気力線が金属内部には入り込めない)
したがって、上の図の左のコンデンサーのほうが下の極板から上の極板まで +1 C の電荷を運ぶ仕事は少なくて済みます。ゆえに左のコンデンサー(内部に金属板がある方)の極板間の電圧は低くなります。
さて、EX2と同じようにエネルギーの原理から解いていきます。
はじめのコンデンサーのエネルギーを $E_0$ 、あとのそれを $E$ 、そして外力のする仕事を $W_2$ とします。この場合電池は接続されていないのでその仕事を考える必要はありません。
そうすると、$E_0+W_2=E$ です。
この時のコンデンサーエネルギー $E$ の計算をしましょう。
コンデンサーに溜まっている電気量を $Q$ 、極板間の電圧を $V$ 、電気容量を $C$ とすると、
$E=\dfrac{1}{2}QV$
$E=\dfrac{1}{2}CV^2$
$E=\dfrac{Q^2}{2C}$
でした。(これらは $Q=CV$ を使うことで相互に変換できます)
これらの式のうち、この問題で使うのはどの式が適当でしょうか?
先程述べたように、$Q$ は操作の前後で不変、しかし $V$ は変化します。そして、コンデンサーの容量 $C$ は計算できます(EX2を参照してください)。
したがって この場合は、$E=\dfrac{Q^2}{2C}$ を使えば良いことがわかります。
コンデンサーの電気容量は金属板を入れた状態で $C\;’=\dfrac{4}{3}C$ 、金属板を抜いた後は $C$ です。
そして、$Q=\dfrac{4}{3}CV$ ですから、
したがって、
\begin{eqnarray}
E_0+W_2&=&E\\
\dfrac{Q^2}{2C\;’}+W_2&=&\dfrac{Q^2}{2C}\\\\
\dfrac{(\dfrac{4}{3}CV)^2}{2\dfrac{4}{3}C}+W_2&=&\dfrac{(\dfrac{4}{3}CV)^2}{2C}\\\\
\end{eqnarray}
これを計算して
$$W_2=\dfrac{2}{9}CV^2$$
を得ます。
エネルギーの原理
エネルギーの原理は力学あたりで学習する概念です。
しかし、ご覧のように物理ではあらゆるところで登場します。
それはエネルギーというものは熱力学第二法則にあるようにあらゆる形態をとり、そして変化し、かつ不変である・・・ことから来ているのです。
$始めのエネルギー+仕事=後のエネルギー$
すなわち
$E_0+W=E$
ですが、$W=E-E_0$ としている式が普通ですね。
しかし、人間の感覚として、
最初+(アクション)=結果
のほうがしっくり来るのです。
ぜひこの $E_0+W=E$ で考えてみてください。
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