【動画追加】クイズ バットの芯とはなにか?物理的に考える

野球でボールを打つとき、バットの芯に当てると気持ちよく打つことができます。
「カキーン」というような感じですね。
しかし、バット先端など芯を外してしまうと「ゴンッ」というような鈍い感触とともにボテボテのゴロになったりします。

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問題

バットの芯とは何でしょうか?

  1. バットの重心
  2. バットの真ん中
  3. バット先端の太い部分
  4. 決まっていない 場合による
  5. その他

そして、バットの芯を外してボールを打つと、なぜ手がしびれたりするのでしょうか?

動画解説

この仮説?を検証する素晴らしい動画があります。

バットが共振している様子が見事に捉えられています。

バッティング時の手応え

バッティングをしたことがある人はわかると思いますが、バッティング時の快感は、ボールをバットの芯に当てることで得られます。
抜けるような感触とともにボールが気持ちいいくらいに飛んでいきます。

しかし、反対に芯を外してしまったときはゴンッというような鈍い不快な感触とともにボールは全然飛ばずボテボテのゴロや飛んでもポップフライになるのがオチです。


さて、同じバットを使い同じスイングをして、バットの芯にボールを当てたときとそうでない場合を比べてみましょう。

どちらもボールが全く同じ速さで投げられたとします。
そうするとボールやバットの運動エネルギー $\dfrac{1}{2}mv^2$ は同じですね。
どちらの場合も当たる前までは、エネルギー的には同じです。
また、運動量 $mv$ について考えても同じですね。

なぜ一方はよく飛び、もう一方はだめなんでしょうか?
反発係数?いえ、同じボールと同じバットですから反発係数は変わらないはずです。

つまりバッティングという現象をマクロに見ると、バットの芯を外して打ったときは、エネルギーが打ったあとのボールの運動エネルギーに変換されずにどこかへ逃げていっているはずです。

その反対に、芯を捉えて打てた場合は、エネルギーの損失が少ないと考えられます。
でもエネルギーは、一体どこへどのようにして逃げていったのでしょうか?

そこには波動現象が関係していると思われます。

共振現象

バットの問題を考える前に、ギターの共振現象について考えてみます。

ギターのハーモニクス奏法

ハーモニクス奏法とは、ギター弦に軽く振れて弾くことで、きれいな高音を出す奏法です。

基本振動している時のギター弦は、図のように振動しています。

このとき、弦の長さを $L$ とすると、波長 $\lambda$ は $2L$ ですね。

ギターのハーモニクス音を出す一番簡単な方法ですが、次の図のように12フレット上でギター弦に軽く指先で触れます。
そして弦を弾くと、弦に触れているにも関わらずきれいな澄んだ音が出ます。
それは開放弦を鳴らした音 $f_0$ よりちょうど1オクターブ高い音 $f_1$です。


出典 https://www.j-guitar.com/ha/hajime/haji_ele10.html

ハーモニクスを鳴らした時の弦の振動状態を考えてみます。

指で軽く押さえる場合の 12 フレットはちょうど弦の長さの半分の位置なのです。
したがって、このとき弦は次のように2倍振動するのですね。

なのでここを軽く押さえて振動させると波長 $\lambda$ が半分の $\lambda=L$ になります。
弦を伝わる波の速さ $v$ は変わらないとして、$v=f\lambda$ より $f=\dfrac{v}{\lambda}$ ですから、

$f_0=\dfrac{v}{2L}$
$\\$
$f_1=\dfrac{v}{L}=2\times f_0$ 

となり、1オクターブ高い音が出るのです。


バットの共振

さて、バットはどうでしょうか?

バットに振動を与えても共振するはずです。
その際にバットに定常波が生じます。

というか世の中のすべてのものは共振し、固有振動数を持ちます

芯はどこにある?

バットが共振して定常波を作っている以上、ギターの弦等と同じように節が必ず存在するはずです。

例えば次の図のような(注:この図は簡便な想像図です。本来はもっと複雑でしょう)

 そうすると、定常波の節の部分にボールを当てることができれば振幅が小さくなり、定常波に変換されるエネルギーが小さくなるはずです。
その反対に、定常波の腹である部分にボールを当ててしまうと、定常波の振幅が大きくなります。
したがって、エネルギーロスが多くなるのです。

つまりバットの芯とは「バットに生じる定常波の節」だということです。
バントの芯は、バットの形状や材質、重さなどで決まりますのでいつも同じところにあるはずです。


追記

実際にはバットを握る、という動作が加わるため握り位置により定常波が変化し、節の位置は変わることも考えられそうですね。このあたりについては結構複雑そうです。


追記2

この記事では、バットの振動モードを一つと仮定していますが、実際には複数の振動モードが存在するはずです。そのため、バットの芯と呼ばれる部分には、ある幅が生じているのではないかと考えられます。
しかし、どの振動モードでも芯にあたる部分というのは、基本的には定常波の節だということは言えると思います。

手がしびれるわけ

バットの腹、例えばバット先端にボールを当ててしまうと大きな振幅の定常波を作り出すことになります。
バットの握りの部分は、この定常波の振幅が大きくなった結果大きな振動をします。

またそのとき、バットの振動エネルギーが大きくなり、ボールに与えられる運動エネルギーは小さくなります。
だからボテボテのゴロになり、手がしびれるのです。

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