私学や国公立大学の2次試験での理系の受験科目は、英語、数学、物理、化学、生物が多いですね。このうち理科については物理・化学・生物、または地学のうちから1~2科目選択することがほとんどです。
工学系を志望する人は物理選択が多いのではないでしょうか。この場合、物理が合否のキーポイントになることも多々あります。
しかし意外にも物理の勉強に悩んでいる人が多いのです。
以下、身に覚えはありませんか?
物理あるある
-
- 物理の教科書を読んでも意味不明
- なぜ質量と重量が違うんだ?重量は質量に比例するとか意味不明
- 張力がどこでも一緒ってどういうこと?
- どうして「垂直」抗力なのか?(垂直以外はないのか?)
- 摩擦力は運動方向と必ず逆向きだと思ったけど・・・
- 外力を「外交的圧力」の略だと思ってた
- ボールが飛んでいる方向に力がかかっているのではないのか!?・・・でないとなぜ進むのか?
- 慣性の法則がわからない 永遠に止まらない、なんてあるはずがない!
- 作用反作用がナゾ過ぎる(一直線上・等大・逆向きなんだけど釣り合わないの?)
- 運動エネルギー $\frac{1}{2}mv^2$ の前についている $\frac{1}{2}$ ってどこから来たの?
- 物理の教科書を読んでも意味不明
物理の授業が始まって、しばらくするといろいろな新しい概念が登場します。
そして、頭の中は上記のような疑問「???」があふれるようになっていきます。
でも、授業はどんどん進むし・・・仕方がないので丸暗記します。自分のもやもやする気持ちはこの際抑えてしまいます。しかし、あなたもまた、やがてこのもやもやを我慢できなくなるのです。そうして、無意識のうちに物理を拒否するようになり、・・・そして、
-
- 勉強してもできません・・・(;;)
- 定期試験前夜・・・もう時間がない・・・公式を全て丸暗記した!でも惨敗
- 問題集を何週もして解き方覚えたけど、知らない問題がでたらお手上げ・・・これじゃ入試に使えない・・
- 物理は公式と解法を暗記する暗記科目だ・・・と思う
- すみません、解法や公式なんてすぐ忘れます
- 正直、物理はキライだ
- もうあきらめた orz
- 勉強してもできません・・・(;;)
しかし、物理は工学系にとっては入学後も避けては通れない重要な科目です。
いえ、単なる受験に必要ということを超えて物理の素晴らしさ面白さをあなたにも味わってほしいのです。
子供の科学 (children’s science)
これは、某有名雑誌のことではありません。念のため。
子供の科学とは、私たちが生まれてこの方培ってきた自分なりの自然観のことです。
「いえ、そういうことはありません」と思う人も多いでしょうが、そうではありません。
たとえば、空気抵抗を無視した場合
重いものと軽いもの、同時に落とすと速く落ちるのは・・・・当然、重いもの
だと子供のころ(ひょっとして今でも)思っていませんでしたか? 答えは「同じ」ボールが空中を飛んでいるとき、ボールの飛んでいく方向に力がかかっている。
でないと、進まない。なんて思っていませんでしたか? 答えは「鉛直下方に重力のみ」
これらが素朴自然観(子供の科学)なのです。この素朴自然観に反することが物理の教科書にはそれこそバンバン出てきます。この傾向は特に力学のはじめのほうに顕著です。
昔の人は、素朴自然にそれこそ骨の髄まで染まっていたでしょう。したがって、この素朴自然観から逃れて近代的な物理観を得るのは至難の技だったと思います。
その時代の科学者たちは何十年もの間、お互いに議論を積み重ねつつ近代的な自然観を構築したでしょう。それゆえ、本当によくわかった!Eureka!という体験をしたはずです。
しかし、現代では物理の教科書ではそういった背景に触れずに、あっさりと
「作用と反作用は必ず対で存在し、その力は一直線上逆向きで等大である」
と記述されたりします。まあ、何かと忙しい現代では無理もないことですが。
「作用反作用の法則」なんてのはかなり難しい概念です。それを初学者の段階でたいした説明もなしにさらっと言われても「納得!」できるのは難しいでしょう。
物理の勉強で必要なこと
あなたの頭の中のもやもやをひとつひとつ消していきましょう。
そのためにはあなたが生まれてこの方培ってきた、素朴自然観を破壊しなければなりません。
そして、あらたに近代的な自然観を構築しなおすのです。
これが難しいのですが、そういう意識を持って勉強するのとしないのとでは雲泥の差が出ます。
そして、物理は決して公式を暗記して当てはめる、などというくだらないものではないのです。
もしそうであるなら過去、物理に一生をささげる人などいようはずもありません。
今、物理がわからなくて困っている人は基礎的な概念や原理・法則を自分の言葉で言えるように、腑に落ちるまで考えましょう。それが結局近道なのです。
それができれば、少しずつゆっくりですが物理の学習は進みます。ゆっくりでもあせることはありません。物理のキモである力学さえ理解できれば、後は加速度的に学習が進みます。
基礎を最重要視して根本的な意味を理解する
そうすれば、きっと物理という学問に感動することでしょう。
おススメの参考書や問題集
教科書がやはり基本です。そして授業に集中しましょう。
しっかり考えてわからないところは先生に質問すべきです。
基礎力を徹底するべきです。
応用力はそうすれば自然についてきます。
参考書としてはわかりやすさでは定評のある「橋元のはじめから物理をていねいに」か、ちょっと古いですが本当に詳しい「親切な物理 上」「親切な物理 下」あたりがおススメです。
問題集としては、「物理のエッセンス」がおススメです。基礎をひととおり終えて素朴自然観を駆逐できてから取り組みましょう。
また、「良問の風」「物理基礎問題精講」などが次のレベルです。
このレベルではそれほど難しい問題はありません。タイトルどおり素直な良問が多いのです。
基礎固めの後、このレベルの問題集をこなすことができればほとんどの大学の入試問題に対応できるはずです。
さらに上のレベルの問題集です。
あせって、基礎ができていないうちには手を出さない方がいいでしょう。
「名問の森 力学」「名問の森 電磁気」「実戦物理重要問題集」
しかし、「さらに上のレベルを目指す人」や「物理が好きで物理関係の学科を志望する人」はぜひ取り組むべきです。克服することができれば格段の応用力が身につきます。
どちらも素晴らしい問題集ですが、私としては名問の森をおススメします。
コメント