電子ボルト
$1\:[\mathrm{eV}] \fallingdotseq 1.60 \times 10^{-19}\:[\mathrm{J}]$
これは電子(電気量 $e = 1.60 \times 10^{-19} \:[\mathrm{C}]$ )1個を電位差 $1\:[\mathrm{V}] $ 間で加速した場合に得られる電子の運動エネルギーを示しています。
電子や光子のエネルギーは、1個あたりでは非常に小さい値なので、これを指数で示すのは桁を間違いやすく、煩雑でもあります。
そこで原子の世界では、電子(電気量 $e = 1.60 \times 10^{-19} \:[\mathrm{C}]$ )1個を電位差 $1\:[\mathrm{V}] $ 間で加速した場合に得られる電子の運動エネルギーをエネルギーの基礎単位として、 $1\:[\mathrm{eV}]$ とします。
$1\:[\mathrm{eV}]$ の単位が $[\mathrm{J}]$ ではどれくらいか計算します。
図のように電子を電位差 $1\:[\mathrm{V}]$ 間で加速します。
エネルギーの原理( $E_0 +W = E$ )から
$W=qV=eV$ 、 初の電子の運動エネルギー $ E_0 = 0 $ とすると、
$E_0 +W = E$
$0 + e\times 1 = E $
よって、
$E=e\:[\mathrm{C}] \times 1[\:\mathrm{V}] = e \:[\mathrm{J}] \fallingdotseq 1.60 \times 10^{-19}\:[\mathrm{J}] $
単位としては他に $\mathrm{KeV}$ , $\mathrm{MeV}$ , $\mathrm{GeV}$ , $\mathrm{TeV}$ などが多く使われます。
それぞれ ケブ、メブ、ジェブ、テブ などということも多いですね。
$\mathrm{K}$:キロ( $10^3$ ) $\mathrm{M}$:メガ( $10^6$ ) $\mathrm{G}$:ギガ( $10^9$ ) $\mathrm{T}$:テラ( $10^{12}$ )
加速器
兵庫県にある日本の誇る放射光施設 SPring-8 の加速エネルギーは $8\:[\mathrm{GeV}]$ です。
この $\mathrm{GeV}$ はギガエレクトロンボルト のことで($\mathrm{G} \rightarrow 10^9 $を意味する)、
$8\:[\mathrm{GeV}] = 8 \times 10^9 \:[\mathrm{eV}] $
です。
私は KEK(高エネルギー加速器研究機構) や SPring-8 で実験をしたことがあるのですが、SPring-8では、エネルギーの低いX線発生器では何日もかかるような結晶の回折画像を、秒単位で得ることができました。つまり、SPring-8 の超高輝度の放射光のおかげで、結晶が相転移するようすをリアルタイムで観察可能になるのです。びっくりですね!
http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/whats_sp8/
施設にはホテルのような宿泊施設や食堂などが整っており、素晴らしい環境です。
周囲は自然豊かで、野生の鹿の姿を良く見ました。
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