エレベーターで考えるモンキーハンティング

depaulus / Pixabay

物理の法則を応用すればあっと驚くようなこともできるのですが、このモンキーハンティングという実験もその一つです。

モンキーハンティングについて考えて見ましょう。
ただし、教科書的な説明はせずに新しい観点から考えます。

スポンサーリンク

モンキーハンティングとは

物理の問題でよく出る「モンキーハンティング」をご存知でしょうか?
これは有名な問題で、以下のようなものです。

サルが樹上にいるとします。
猟師が鉄砲でサルをまっすぐに狙います。
猟師が引き金を引くと同時に、サルが手を離します。
しかし、サルが地面に着く前の空中であれば、弾は百発百中でサルに命中してしまう、
というものです。
 

 

どうして、サルは逃げられないのでしょうか?
正確に言えば、弾がサルに届く前にサルが地面についてしまえば逃げられます。しかし、空中にいる間は絶対に当たるのです。

この問題のよくある解き方は教科書や参考書、問題集に譲ることにして、ここではちょっと違う観点から考えましょう。

台の上の二つのボールについて

机上にビリヤードの球が二つあるとします。球Bは止まっています。
球A → 球Bを狙うとあたる。⇒ 当然ですね?

いまのは、テーブルの上の話ですが、宇宙など無重力空間で同じように球二つが浮いているとしても、球A→球Bを狙うとあたる。⇒ 当然ですよね。

エレベータの中では

次に、球Aと球Bを無重力空間で停止しているエレベータの中に入れることにします。
これも同様にあたるでしょうね。

エレベータを動かそう

次にこのエレベータが球とともに無重力空間を速さVで等速運動しているものしても、状況は変わらないでしょう。観測する人が、エレベータ外で速さvでエレベータとともに運動しているとします。観測者から見て、球Aはまっすぐいって球Bにあたった・・・、それだけです。

エレベータを加速運動させる

次に宇宙空間で、エレベータを等加速度運動させるとどうなるでしょうか。

今、球Aが球Bに向けて発射された瞬間のエレベータの速さvとしましょう。速さvでエレベータとともに移動している人から観測します。(当然、この後はエレベータはどんどん速くなっていきますよ)
観測者はエレベータを見なければ、球の運動はただまっすぐ行ってあたった、、それだけです。ですので必ず当たります。(球ABは発射された以降は発射されたときの速さvで、エレベータの進行方向に等速直線運動します)

一方、エレベータ内から観測した場合、エレベータ内では慣性力 ma が働き、擬似的な重力効果を生むことになります。エレベータ内の人は、球はエレベータの加速度方向とは逆向きに加速運動するようにみえます。

これをエレベータ外から見た場合先ほどのお話どおり、両球は必ずあたります。したがって、エレベータ内から見ても球Aと球Bはかならず衝突することになります。このとき、エレベータ内の人から見て、球Aは水平投射運動します。

斜めのときは?

球の位置が図のようにエレベータの床に対して水平でなくとも同じことです。

同様に考えてエレベータ外の人から見た場合、球Aはまっすぐ行って当たった・・・、それだけです。なので必ず当たります。

加速度運動していても同じことです。球Aが発射された瞬間のエレベータの速さvで併走しながら、エレベータ外から観測している人を想像します。

やはり、球Aは球Bへまっすぐ向かって行って、ただ当たったと見えるはずです。したがって、必ず当たります。

違う見方をしてみます。
エレベータ内での慣性力 m×a を考えた場合(エレベータ内から見た場合)、両球には慣性力がかかっています。これは、地球上の重力と性質は同じです。床に対してまっすぐ下に向けて、質量×加速度 の大きさの力がかかります。

つまり、エレベータ内から観測した場合のように、両球が同様な空間で 質量に比例する力を受けるのであれば、球Aと球Bが当たる条件は、球Aの速度ベクトルが球Bを向いているということだけということですね。

ということは、地球上での重力は質量×加速度ですから、どのような角度であっても、球Aが球Bをまっすぐに狙うかぎりは、必ずあたるといえます。

このときの必要な力は、質量×加速度 であるような力ですが、
もっと一般的に言えば、質量に比例するような力といえるでしょう。

すなわち、質量に比例するような力だけを受けて運動する場合、お互いの物体の質量が違っていても、同じ時間では同じ距離だけ運動するともいえますね。

物理のおススメ本

一般啓蒙書

https://amzn.to/2Sru3BY
https://amzn.to/2SdsMzm

問題集

https://amzn.to/2SfdxWZ

コメント