スペクトルとは何か
スペクトルとは何でしょうか?
一般に光のスペクトルとは、光をその成分に分けたものです、といってもよくイメージできませんね。
たとえで考えてみましょう。
野菜ジュースを考えてみます。
その成分は、トマト、ニンジン、ホウレンソウ、ダイコン、バジル、ピーマン とします。
食品会社A・B・C の各社の野菜ジュースは、入っている野菜の種類は同じです。
それらのジュースの見た目はそっくりですが味は少し違います。
これらをグラフにしてみると次のようになります。
このように、混ぜられている野菜を、それぞれの成分に分けて分析したのが、このジュースの「スペクトル」です。
光も同じように、いろいろな色の光が混ざった状態なのですが、分光器を使って、光をその成分ごとに分けたのが光のスペクトルです。
いろいろに見える光も分けてみれば、次の写真のようにその成分に分けることができます。
http://member.tokoha-u.ac.jp/~kuninaka/renewal/spectrum.htm
これが光のスペクトルというわけです。
太陽光や電灯の光も、詳しく見ればいろいろな光が混ざっていることがわかりますね。
これらの光のスペクトルのうち、ナトリウムや水銀・水素などに見られるように、鋭い線からできているスペクトルと、電灯に見られるように連続しているスペクトルがあります。
前者を(輝)線スペクトル、後者を連続スペクトルと呼びます。
スペクトルのナゾ
スペクトルの謎です。
- スペクトルがなぜこのように、いつも規則正しく観測されるのか?
- その隠された物理学的な意味は何か?
現代物理学は1900年代に花開くことになるのですが、その立役者の一人がニールス・ボーア(デンマーク 1885-1962)です。
ボーアは水素原子の放つ輝線スペクトルの謎を解き、水素の原子構造の理論を打ち立てます。
このボーア理論については、別記事で詳しくふれる予定です。
フラウンホーファー線
そのほか、太陽スペクトルは連続しているように見えますが、よく見るとおびただしい数の暗線が入っていることがわかります。
この暗線を「フラウンホーファー線」と呼んでいます。
太陽から発せられた光は本来、連続スペクトルなのですが、太陽や地球の大気中の成分により、特定のスペクトルが吸収され、それらが暗線となって見えます。
nl:Gebruiker:MaureenV – original uploaded in dutch wp by nl:Gebruiker:MaureenV (26 Jan 2005), パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=212467による
これを吸収スペクトルといいます。
この吸収スペクトルを観測することで、太陽や地球大気の成分を知ることができるのです。
よって、遠くの天体からやってくる光を観測することで、その天体の組成を知ることができます。
さらに、光のドップラー効果を調べることで、天体の運動の速さをも知ることができるのです。
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