作用反作用って、簡単なようで実はとても難しい概念です。
世の中、全てこの法則で支配されているのですが、誤解している人も大変多いのです。
中でも多いのが、作用反作用とつり合いを混同している場合です。
勘違いされていることが多い作用反作用の法則を以下の記事で解説します。
作用反作用とは
ニュートンの運動の3法則の一つが作用反作用の法則です。
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- 第1法則 慣性の法則
- 第2法則 運動の法則
- 第3法則 作用反作用の法則
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第3法則に示されているのが作用反作用の法則です。
これは次のように表現されます。
2物体が互いに力を及ぼし合うとき、それらの力は一直線上逆向きにはたらき、同じ大きさである
物体Aから物体Bへ力を及ぼすとき、物体Bから物体Aへ同じ大きさの力が一直線上逆向きにはたらきます。
このとき、片方の力を作用、もう片方を反作用と呼ぶことにします。
それでは、例を見ていきましょう。
作用反作用の例
では次の問題を考えてみてください。
綱引きでの力を考えます。
AチームとBチームが対戦しました。結果Aチームの勝利に終わりましたが、このときお互いが綱を引く力はどちらが大きかったでしょうか。ただし、単純に引き合うだけとし、綱の質量は無視できるとします。
選択肢
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- A
- B
- どちらも同じ
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このとき、Aチームが勝ったのだからAが綱を引く力がBを上回ったと考えてしまいがちです。
ところが
作用反作用の法則によると、
AがBを引く力を作用とした場合、反作用はBがAを引く力である。
これらの力の大きさは同じで、一直線上等大逆向きである。
となり、答えは「どちらも同じ」なのです。(注:綱の質量は無視できるとしています)
これはズルズル動いていようが接戦で止まっていようがいつも同じです。
作用反作用の法則はいついかなるときでも成り立つとされているからです。
しかし、「いや、ズルズル動いているなら動かしているほうの力が強いだろ?」というのが普通の感覚なのです。
また、同じ力なら引き分けではないか?と、釈然としない人も多いかもしれません。
では、力の大きさは同じなのになぜAが勝ち、Bが負けたのか?
==> Aにはたらいている力はBが引く力と、地面からの摩擦力だけです。
したがって、Aが勝ったのは単純に摩擦力が大きかったからです。
ということはこの場合は、床と靴が同じ条件なら、体重が大きいほうが勝つということになります。
相撲で単純に押し合っている場合も同じです。押し合っているときの力は作用反作用の法則に従って必ず一直線上等大逆向きです。
したがって、勝敗を決するのは地面からの摩擦力です。
つまり、単純な押し合いであれば摩擦力の大きいほうが勝つことになります。
摩擦力は一般に体重が大きいほうが大きくなるので、相撲取りは太っているほど有利です。
これが相撲取りがせっせと体を大きくしようとする理由ですね。
作用反作用とつり合い
これは多くの人が間違っています。
中には大学の先生まで著書に間違ったことを書いていたりするのです。
それだけ、自分のものにしにくい難しい概念だといえるでしょう。
つり合いとはある物体にはたらいている力(外力)が相殺している状態です。
その場合、物体は静止または等速直線運動を続けます。(このあたりは慣性の法則に関する別記事を参照してください)
ある物体にはたらく力が釣り合って、物体が静止していたとしましょう。
水平方向に物体にはたらく力はあなたが引く力と摩擦力です。(他には鉛直方向に重力と垂直抗力があります)
一生懸命ひっぱても動かないとき、引く力 f と摩擦力 F が一直線上等大逆向きにはたらいています。
しかし、f と F は作用反作用ではありません(←要注意)
もし、この物体が右向きに加速運動するならば、f > F です。
このときの「あなたが物体を引く力 f」 を作用とするならば、反作用は「物体があなたを引く力 f’」です。
このとき、f と f’ は必ず同じ大きさで一直線上逆向きです。
もし、物体が右向きに加速運動したら?・・・・それでも f と f’ は必ず同じ大きさで一直線上逆向きです。
お分かりでしょうか?
図の赤い力が物体が受ける力(外力)なのです。
緑の力は?・・・これはあなたが受ける力です。
つり合いとは物体にとっては、この赤い力の関係で決まることです。
緑の力はあなたにはたらく力ですから、物体の力には入りません。
したがって作用反作用はつり合いの関係にはなりえません。
注意すべきは、これらのことは単なる言葉の問題ではなく、本質的なことです。
しっかり理解してほしいと思います。
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