レンツの法則とエネルギーの関係

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レンツの法則

レンツの法則とは

誘導起電力により流れる誘導電流の作る磁束が、外部からの磁束変化を打ち消す向きに誘導起電力が生じる

です。なんだかわかったようでわからないですが、どういう意味なんでしょうか?
実際に問題を解きながら考えてみましょう。

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問題 誘導電流

図のように固定したコイルに磁石のN極を近づけるとき、抵抗に流れる誘導電流の向きを答えよ。

答え

考え方ですが、まずレンツの法則の言葉通りに考えてみましょう。

磁石のN極からは図に示すように赤色で示されたような磁束線が出ています。
このとき、磁石を近づけるとコイルを貫く赤色の磁束線が増加します。

レンツの法則によれば、「磁束・磁場の変化を打ち消す向き」に磁束・磁場が発生するように誘導電流が流れる・・・
つまりコイルを貫く磁束が増えるときは減らす・・・減るときは増やす・・・様にコイルに誘導電流が流れるということなのです。

ですからこの場合、コイルはN極により増えた磁束を減らそうとするはずです。
すなわち次の図のように、コイルは青色の磁束を誘導します。
このとき赤と青の矢印が逆方向なので打ち消し合うと考えて下さい。

コイルはこのような磁束・磁場を作ろうと誘導電流を流そうとします。
したがって右手の法則より抵抗を流れる電流は図の右方向になります。

問題 電位について

同じく次の図のようにコイルのN極を近づけるとき、電位が高いのは、A・B どちらでしょうか?

答え

コイルにN極を近づけるとき、A・Bに抵抗などを接続すると、前の問題でも触れたように次のように電流が流れます。

このとき、「電流は電位が高い方から低い方へ流れる」・・との認識から「コイルの中はBからAへ電流がが流れる」→「電位が高いのはB」と考えてしまいがちです。
特に、ABに抵抗を接続してない問題の図を見て、そう考える人が多くみえます。

しかし答えはAですね。
なぜでしょうか?

次の図を見れば一目瞭然です。
コイルに磁石のN極を近づけるとき図のようなことが起きていると考えられます。

ここでのコイルは電池と同じです。(電池内部は $-$ から $+$ へ電流が流れていますね)
コイル内部でがんばって電位差を生み出しているのです。
そのために手は仕事をするのですね。

AとBをつないでやれば、当然AからBへ電流が流れます。
つまりAのほうが電位が高いのです。

エネルギーとの関係

さて、今度はエネルギーとの関係を考えてみましょう。
同じくコイルに磁石のN極を近づけるときのことを考えてみます。

エネルギーは無から生じない・・・ということはOKですね。
したがって、このコイルに電流が流れるという現象もエネルギーの原理が当然当てはまるはずです。

磁石を近づけた図の場合、コイルには電気エネルギーが生じています。
無からエネルギーを作ることはできません。

つまり、必ずどこかで仕事を受けているはずです。
そしてそれは、磁石を突っ込むときにされているのです。

ということは、「磁石を突っ込むときは手応えを感じなければならない」それに屈せず仕事をした結果、コイルに電気エネルギーが生じると考えるのです。

磁石を動かすという力学的なエネルギーを電気的なエネルギーに変換しているのです。

磁石を突っ込むとき

ではコイルに磁石を突っ込むときに手応えを感じるときはどんなときでしょうか?
それは誘導電流による生じたコイル磁場がこの場合は、図の左側がN極になり反発力を受ける・・ということです。

こうするとコイルを突っ込むときに反発力を受けるため磁石を持った手は仕事をしなければなりません。
そして、そのときなされる仕事が電気エネルギーへと変換されるのです。

磁石を遠ざけるとき

では、今度は反対に磁石をコイルから遠ざける場合を考えます。
エネルギーから考えてみましょう。

N極が遠ざかる場合、手応えを感じるためにはコイルは左側にS極をつくって引力で磁石を引き留めようとしなければなりません。

したがって、次の図のようになるはずです。

このとき、右手の法則を使って、誘導電流の向きを調べましょう。

磁石のN極を遠ざけます!そうすると引力が働く方向に電流が流れる

つまり、抵抗を流れる電流は図の左向きであることがわかります。

まとめ

こうやって考えると磁石とコイルの関係・・・レンツの法則はいわゆる「へそ曲がり」「ツンデレ」の法則なんですね。

さようなら→いっちゃいや
こんにちは→きちゃいや

というようなイメージです。

ときどき、これを逆に覚えている人がいてテストのときに悲惨な目にあったりします。
なにしろ全て逆ですからね。
確信をもって答えて、すべて間違う・・・というトホホなことが起きてしまうのです。

迷ったりしたときは、エネルギーの関係を思い出してください。

補足 右手の法則

図のように親指以外の指の方向に電流を流すとき、親指の方向に磁場が生じる。

 
手の関係は逆でも可です。
つまり、親指以外の指の方向が磁場方向のとき、親指の方向に電流が流れている。


場合によって使い分けて下さい。

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