交流とコンデンサー 交流の基礎 4

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交流とコンデンサー 交流の基礎 4

交流回路は難解な単元といわれますが、段階を追って学んでいけば恐るることはありません。

電磁気の記事は次を参照してください。

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交流とコンデンサー

交流とコンデンサーの関係について解説します。

コンデンサーの両極板間は絶縁されていますので、回路的には切れています。
しかし、交流回路では両極版にたまる電荷の正負が激しく入れ替わるため、コンデンサーは交流電流を通しているように振舞います。電源の周波数が高いほど交流電流を通しやすく、この性質はコイルとは正反対です。

 

交流電源とコンデンサーをつないだだけの回路を考えます。

電源電圧は $V=V_0\sin \omega t$ で変化し、コンデンサーの電気容量を $C$ とします。

コンデンサーに蓄えられる電気量 $Q$ と電圧 $V$ 、電気量量の関係式は

$Q=CV$

 

電流の定義は $I=\dfrac{\Delta Q}{\Delta t}\:\Longrightarrow\:\dfrac{\mathrm{d} Q}{\mathrm{d} t}$

したがって、 $Q=CV=C(V_0\sin \omega t)$ および、コンデンサーに流れる電流を $I_C$ として、

 

$I_C=\dfrac{\mathrm{d} Q}{\mathrm{d} t}$

$~~~=\dfrac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} t}(CV_0\sin \omega t)$

$~~~=\omega C V_0 \cos \omega t$

$I_C=\omega C V_0 \sin( \omega t + \dfrac{\pi}{2})$

$\cos \omega t = \sin(\omega t + \dfrac{\pi}{2})$

ここで電流の最大値 $I_0=\omega C V_0$ とおけます。

位相のずれ

これと、電源電圧の式 $V=V_0 \sin \omega t$ とを比較します。

とくに $\sin$ の中(位相)に注目します。

 

$V=V_0 \sin \omega t$

$I_C=\omega C V_0 \sin( \omega t + \dfrac{\pi}{2})$

 

そうすると、 コイルを流れる電流 $I_C$ は電源に比べて、位相が $\dfrac{\pi}{2}$ だけ進んでいることに気がつきます。

リアクタンス

ここでオームの法則( $V=RI$ )を思い出してみます。

 

$I=\dfrac{V}{R}$

$I_C=\omega C V_0 \sin( \omega t + \dfrac{\pi}{2})$

 

これらの式をじっくりと見ます・・・。
そうすると、オームの法則で示される抵抗 $R$ と同じ働きをするものがあることに気がつきます。

すなわち、

$ \omega C \: \Longrightarrow \:\dfrac{1}{R}$

よって、コイルをつないだ回路の抵抗成分 $X_C$ として

$X_C =\dfrac{1}{\omega C}$

とし、この抵抗成分 $X_C$ をリアクタンスと呼ぶことにします。

まとめ

位相

コンデンサーを流れる電流の位相は、電圧の位相に対して $\dfrac{\pi}{2}$ 進んでいる。

これを言い換えると、

コンデンサーにかかる電圧の位相は、コンデンサーを流れる電流の位相に対して $\dfrac{\pi}{2}$ 遅れている。

とも書けます。これらはコイルの場合と逆ですね。

リアクタンス

交流回路におけるコイルの抵抗成分をリアクタンス $X_C$ とよび、

$X_C =\dfrac{1}{\omega C}$

で示される。

リアクタンス $X_C$ の値は $\omega$ や $C$ が大きいほど小さくなることがわかります。

$\omega = 2\pi f$ ですから、周波数の大きい電源ほどコンデンサーの抵抗成分は小さくなります。

RLC直列回路(ベクトル)交流の基礎5
今回は直感的に理解しやすいように、交流の波に対する等速円運動の参考円を考えてみます。 この場合、RLC直列回路であるので、電流 $I$ は各素子に対して共通です。 電源の電圧 $V$ は、コイル・コンデンサー・抵抗 にかかる電圧の位相差を考えて、それらをベクトル的に合成して得ます。電験三種の理論対策にも 電源電圧 $V$ の、数学的計算による導出は次回予定です。

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