物理基礎と専門物理の違い
高等学校で学習する物理は普通、「物理基礎」と専門「物理」に分かれています。
多くの高校では、1年または2年生で、「物理基礎」を学習し始め、3年生で「物理」を学ぶ人が多いのではないでしょうか。
しかし、中高一貫6制の学校では、おそらく多くの学校で、高校3年生(6年生)のころにはすでに物理の多くの範囲を終了し、受験に向けた体制をしいています。
一般の公立高校では、その点大きなハンデを持っているといわざるを得ないのです。
ここでは、「物理基礎」と「物理」の違いについて解説し、文系・理系選択においてはどのように選択し、学習すればよいかをアドバイスします。
物理基礎
文字通り、高校で物理の入門編として学習するものです。
内容は「基礎」とついていますから、基礎的です。
しかし、基礎が「簡単」というのは早とちりです。
むしろ、物理の最初のあたりの力学でつまづく人が多いのです。
力学が難しい・・・!
これは私たちが子供のころから構築してきた「子供の科学・常識」と反しているからです。
逆に、力学をきちんと理解できて乗り切ることができれば、あとは理解しやすいのです。
ここが最初にして最大の関門!
こちらの記事を参考にしてください。
物理基礎の学習内容
- 運動とエネルギー
- 熱
- 波
- 電気
- 物理学と社会
となっています。
内容は基礎的ですが、やはり力学が「カギ」でしょう。
力学の内容はわかってしまえば、面白く楽しいのですが、そこまで行くのが苦しい!
専門物理
専門物理の内容は・・・
これは人によるでしょうが、合う人にとっては「楽しい」・「点が取れる」科目であることは間違いありません。
そうでない人、にとってはまさしく「鬼門」です。
専門物理は物理基礎の内容は 100 % 含みます。
つまり、別個のものではありません。
大学2次試験の試験科目に「物理」とだけある場合でも、もちろん「物理基礎」の範囲も出ます。
専門物理を選択する場合は、基礎と専門、というように分けることは意味がありません。
どちらも「物理」です。
中高一貫6年生の学校の理系選択では、早くから「物理基礎」「専門物理」と分割せずに「物理」としてまとめてやっているところも多いはず。
実際のところ、理系にとっては基礎・専門と分けてやる意味はあまりありません。
わけると、かえってわかりにくくなります。
もし独学するなら、基礎・専門と分けずに、通しでやるべきです。
物理の学習内容
「物理」の内容は、
- 力学
- 熱力学
- 波動
- 電磁気学
- 原子物理
の分野に分かれます。
基礎の内容をさらに高度にしたものだと考えてください。
何度も言いますが、物理は力学の理解がキモです。すべての分野を左右します。
力学がきちんと理解できれば、残りの分野の学習は比較的スムースに進みます。
そうでない・・・場合は、残念ながら力学の理解が浅いということなのです。
選択する場合のアドバイス
文系
今までの、センター試験での「物理基礎」の試験内容は、専門物理をしっかりやった人から見ると、かなり簡単でした。私のイメージとしては、教科書の問いや練習問題レベルです。
(こんなに簡単な問題でもいいのか?他教科とのバランスは?・・・私が問題を見ての感想です)
過去のセンター試験の「物理基礎」の平均点は 5 割前後だったように思いますが、これは、いろいろなレベルの人が受けた結果であり、物理をしっかり理解できている人の平均点はかなり高いのではないか、と勝手に推察しています。
今度の共通テストが、なにぶん初めてなので断言はできませんが、今までのセンター試験では「おいしい」科目だったので、共通テストでもそうは難しくはならないと予想します。(いつの段階でも断言などできませんが・・)
2021年度の共通テストの物理基礎を解説しています。めっちゃ簡単でした!
よって、文系の人でも、物理が好きで得意であれば、共通テストでは「物理基礎」を選択してもOKです。というかおススメです。
「物理基礎」は暗記量が他の科目と比較して少なく、内容がわかりさえすれば比較的短時間で制覇できるはずです。
そして、余った時間を他の教科の勉強に回すことができます。
ただし、物理が得意でない人はやめておいたほうが無難です。
暗記科目はそれなりに苦労しますが、きちんとやれば、「試験で大きく失敗した」・・ということは少なくなります。満点は難しくても一定の点を安定して取ることができるはず。
理系選択
理系での理科選択に関しては、理系に進む予定の人は、「農学・生物系」以外は物理を選択するのが断然おすすめです。
医療系の場合はちょっと考えどころです。こちらはいろいろあるので先生に相談しましょう。
物理をおススメする理由は、
- 生物・化学のセットで受験できる大学や学科がかなり限られる
- 理学・工学系で物理を知らないと、入学してから苦労する
- 物理はわかりさえすれば、「共通テスト」で高得点を狙える
- 覚えることが少ない
ですね。
しかし、逆に言えば
- 覚えることは少ないが、よく理解できないまま暗記に頼ると、入試二次のテストや「共通テスト」でこける可能性が大きくなる。
- わからないと、フラストレーションがたまる 砂を噛むようなつまらなさを感じる・・かもしれない
ということになります。
物理選択は、考えることが好きな人には向いています。
2021年度の共通テストの物理について詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
まあ、理工系なら、生物関係を除いて物理は避けて通れない科目です。
やるしかないのです。
注意:選択に際しては志望校の要求する要件を公式の要項などで必ず確認してください。
文理共通の注意点
物理の試験の最大の注意点は、設問が少ないため、ひとつひとつの配点がかなり高めだということです。
100点満点で、1問 5 点くらいのイメージです。(「物理基礎」では、過去のセンター試験 50 点満点で、1 問ほぼ 4 点とかなりの高配点でした)
これは勘違いなどやケアレスミスで3問間違えると90点から75点に転落することを意味します。
普段の模試とかでも、これくらいのミスは結構ありますよね。
これは本当に気を付けてください。
毎年、基礎・専門にかかわらず、実力がありながら点を失う人が多くいます。
これは精神的にもダメージを結構食らいます。
物理の勉強法など
物理の勉強法などについて、こちらのページを参照しください。
物理の学習方法について考える
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