基本的なことが理解できていればそれほど難しくはないはずです。
用語や理論に?が浮かんだら更に深い理解のチャンスです。
躊躇せず確認しましょう。
物理のエッセンス電磁気編69番 P102
物理のエッセンスの電磁気編69番P102を参照してください。
図のような装置で棒PQを導線にそって落下させます。
うまく導線に接することができるかどうか難しいでしょうが、ここは問題なく接しながら落下するとして問題を考えます。
導体棒の長さは $l$ で、質量を $m$ 、重力加速度を $g$ としてます。
摩擦・空気抵抗等は無視でき、電気抵抗は $R$ のみとします。
このとき抵抗 $R$ を含む回路を構成するので、この回路には誘導電流が流れます。
そして、導体棒にはフレミングの力が生じます。
問題
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- PQにはどちら向きに電流が流れるか?
- 導体棒は落下するにつれて、ある一定の速度に収束する(終端速度)。
その終端速度 $v_1$ の大きさを求める。
早速やっていきましょう。
解答
動画
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まず、誘導電流の向きですが、レンツの規則で考えてみます。
レンツの規則
誘導電流により生じる磁束が、外力により加えられた磁束変化を打ち消す向きに、誘導電流を生じる。
図のように導体棒が落下すると回路を貫く磁束線の本数が増加します。
そのため、この磁束線を打ち消す向きに誘導電流により磁束が誘導されるわけですから、図で$◯\hspace{-.87em}×$ の向きに磁束を誘導しようとします。
よって、右手の法則より、図の $Q\rightarrow P$ の向きに誘導電流が流れます。
あるいは導体中の電子にはたらくローレンツ力を考えてみても同じことが言えます。
注意:電子の電荷は負であることに注意してください。
図において電子は、ローレンツ力により $P\rightarrow Q$ の方向に力を受けて運動します。
このときの電流方向は、$Q\rightarrow P$ ですね。
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誘導起電力 $V$ は、$V=vBl$ で示されます。
今、導体棒が落下して、速さが $v$ になったとします。
このとき回路の抵抗は $R$ だけですから、誘導電流 $I$ は
$$I=\dfrac{V}{R}=\dfrac{vBl}{R}$$
フレミングの力 $F$ は$F=IBl$ ですから、
$$F=IBl$$
$$~~=\left(\dfrac{vBl}{R}\right)Bl$$
$$~~=\dfrac{vB^2l^2}{R}$$
となります。
フレミングの力は、電子にはたらくローレンツ力の総和と考えられます。
さていま、導体棒が終端速度 $v_1$ に達しているとすると(次図)
終端速度では導体棒は等速運動しているため、導体棒にはたらく外力はつり合っているはずです。
したがって、$v$ を $v_1$ に書き換えて、つり合いの式、
$$mg=\dfrac{v_1B^2l^2}{R}$$
より、
$$v_1=\dfrac{Rmg}{B^2l^2}$$
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