フレミングの左手の法則
「フレミングの左手の法則」
ジョン・フレミング(イギリス 1849-1945)が考案した、電流が磁場から受ける力の向きを示す法則です。
覚えておくと便利です。
電流が磁場から受ける力
電流 $I$ が磁場 $H$ から受ける力$F$ とします。
親指を $F$、人差し指を $H$、中指を $I$ とすると、これらは互いに直交する関係にあります。
覚え方は
親指から F→B (H) →I としてもいいし、
中指から 電→磁→力 としてもいいでしょう。
磁場 $H$ 中に磁場と垂直な方向に電流 $I$ を流したとき、導線 $l$ の長さにかかるフレミングの力の大きさ $F$ は、比例定数を $\mu$ として
$F=\mu IHl$
と、示されます。このときの $\mu$ を透磁率と呼びます。
磁場と電流向きが垂直でない場合、電流の、磁場の方向に垂直な成分を考えます。(磁場の成分を考えても同じです)
上から見ると次の図のようになります。
ここで、電流 $I$ の$H$ に垂直な成分を考えると、$I\sin\theta$ となります。
よって
$F=\mu (I\sin \theta)Hl =\mu IHl \sin \theta$
です。
設問によっては、$\theta$ の取り方が違うため、この式を覚える必要はありません。
考え方がわかれば十分です。下手に丸暗記すると間違いのもとです。
電流と磁場方向が平行な場合は、
磁場の電流に対する垂直成分が $0$ のため、
フレミングの力は、はたらきません。
磁束密度 $B=\mu H$
$F=\mu IHl$ の式において、$\mu$ は、周囲の物質により変化する値です。
そこで、$\mu H =B $ とおくことで、フレミングの力の式は次のように書き換えられます。
$F=\mu IHl=IBl$
このとき、$\mu$ は周囲の物質の種類により決まる定数ですから、$B=\mu H$ とおくことによって $B$ に周囲の物質による効果を織り込んでいるのです。
電磁気においては、$H$ よりもむしろ $B$ を使うことが多くなります。
覚え方ですが、
「ビール $(BIl)$ は力 $(F)$」
と覚えましょう。
透磁率
透磁率の $\mu$ は周囲の物質により変化します。
まず、周囲が真空の場合を考えて、真空の透磁率 $\mu_0$ とします。
そのうえで、周囲がある物質に囲まれたとき、その効果が真空の何倍かを比透磁率 $\mu _r$ とし、次の関係があります。
$\mu=\mu_r \mu_0$
比透磁率 $\mu_r$ の主なもの
物質 | 比透磁率 $\mu_r$ |
空気 | 1.00(透磁率はほぼ真空と同じとみなしてよい) |
鉄(強磁性体) | 8000 |
スーパーマロイ(強磁性体) | 6000000 |
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