水平投射はなぜ自由落下と同時に落ちるのか

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水平投射はなぜ自由落下と同時に落ちるのか

水平投射

物理を習い始めて最初に??と思うことの一つに、この水平投射があげられます。


多くの人は最初、次の話を信じられないでしょう。

ボールを水平に打ち出すと同時にポトリとボールを落とすと地面に落ちるのは同時である

図では、ボールを水平に投げ出すと同時に、ボールを同じ高さからポトリと落としていますが、空気抵抗がなければ、これら二つのボールは同時に地面に落ちます。


でも、勢いよく水平に打ち出したら、その分落ちるのが遅くなるんじゃね?・・というのが普通の感覚です。

あなたも、そう思っていませんでしたか?(ひょっとして今でも)

これは極端な例をあげると、

ピストルを水平に発射すると同時に持っていたピストルを落とすと

弾もピストルも同時に地面に落ちる・・
ということです。

(注:実際は弾が回転するのでもう少し複雑になります)

教科書には水平に打ち出したものと自由落下させたものを、同時に写した写真を載せています。
それを見ると、確かにそうなのかもしれませんが、何となくもやもやしますよね。


https://www.brh.co.jp/publication/journal/046/r31_in_science.html

もちろん、ニュートンの運動の第2法則から考えると、鉛直方向には重力という力がかかるため加速運動し、水平方向にはなにも力がはたらかないため等速運動する、という説明でOKなんですけどね。

しかし、小学生にも納得できるように・・という観点から今回は説明を考えてみました。

電車を使って説明しよう

図にあるように、電車内でボールを持っています。

そこで、電車が停まっているときに、ボールを持った手を離します。

当然ですが、ボールはポトリと足元に落ちるでしょう。
これは自由落下です。

次に、電車が直線を等速で動いているときに同じことをします。
電車に乗っている人にとっては、やはりボールはポトリと足元に落ちるだけですね。

これは、車内の人にとっては自由落下です。

では、プラットフォームに立ち止まって電車を見ている人には、ボールはどう見えているのでしょうか?

電車は等速直線運動していますので、きっと次の図の赤いボールのように見えるはずです。

これは水平投射ですね。
つまり、電車が走る速さで水平方向に投げ出されたのと、同じことだと考えられます。

この二つを組み合わせてみましょう。
次のアニメーションGIFを見てください。

オレンジ色のボールに注目してください。
電車内の人から見て、これは自由落下しています。

あなたも図中の青の人になった気持ちで見てください。
オレンジのボールはいつも青の人の手の真下にあります。

次に、図の赤いボールに注目してください。
プラットフォームの人から見て、ボールの落ちる軌跡を示していますが、これは水平投射です。

このように、電車の中の人、プラットフォームで立ってみている人それぞれの見え方がわかると思います。

つまり、観測する人の状態によって、同じ運動が違う運動に見えるということです。

しかし、電車内の人にとっては、あくまでもボールは自由落下しただけですから、たとえプラットフォームの人から見て水平投射でも、落下までにかかる時間は自由落下した場合と同じはずですね。

したがって、この運動は、水平投射として見ても、自由落下として見ても、落下までにかかる時間は全く同じです。
つまり、どちらも同時に落下するというわけです。


そして次の図から、水平方向には等速直線運動し、鉛直方向には自由落下運動する・・ということが明らかだと思います。

投げ上げ運動

ついでに、電車内での投げ上げ運動を考えてみましょう。

等速運直線動する電車内で真上にボールを投げる動作を考えます。

そうすると、電車内の人にとってはただの投げ上げですが、プラットフォームで止まってみている人にとっては斜方投射です。

図のオレンジ色のボールは鉛直投射していますが、赤いボールは斜方投射になっています。

あなたも青い人の気持ちなってオレンジのボールを見てください。
オレンジ色のボールは、青い人の手のいつも上か下にあります。

しかし赤いボールは斜方投射の軌跡を描いています。

よって、斜方投射の場合は、水平方向には等速運動し、鉛直方向には投げ上げ運動すると考えられます。

まとめ

水平投射、斜方投射などの運動は、鉛直方向と水平方向の運動に分けて考えるとシンプルになります。
すなわち、

  • 鉛直方向・・・重力による加速運動(しかも加速度の大きさはつねに $g$ )
  • 水平方向・・・等速直線運動

これはニュートンの運動の第2法則を使えば、

  • 鉛直方向には重力といいう力がかかるため加速運動する(しかも加速度の大きさはつねに $g$ )
  • 水平方向には何も力がはたらかないため、慣性の法則により等速直線運動する

ということです。


水平投射の場合は鉛直方向には自由落下で水平方向には等速直線運動です。
だから、落下時間は自由落下の時間と同じになります。

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