静止している物体が分裂した場合は、系全体の重心位置は静止したままです。
物体が等速運動していた場合、物体が分裂しても系全体の重心位置は等速運動します。
重心公式
図のように各物体が並んでいたとします。
重心に関する式は以下のようになります。
$$x_G=\dfrac{m_1x_1+m_2x_2+m_3x_3+m_4x_4+\cdots}{m_1+m_2+m_3+m_4+\cdots}$$
この式を使えば、物体がいくつあっても大丈夫ですね。
重心公式について動画解説しています。
参考にしてください。⇒ 剛体 ・ YouTube 重心公式の求めかた
ここではこの公式を使って、分裂する物体の重心の位置を考えてみましょう。
分裂する物体の重心
物体が2つに分裂する場合を考えます。
2つに分裂した物体の質量をそれぞれ $m_1 \:\: m_2$ 、ある時刻の位置を $x_1 \:\: x_2$ 、 速度を$v_1 \:\: v_2$とします。
ある時刻の重心を求めます。
$$x_G=\dfrac{m_1x_1+m_2x_2}{m_1+m_2}$$
両辺を時間微分 $\dfrac{d}{dt}$ します。
$$\dfrac{d}{dt}\left( x_G\right)=\dfrac{d}{dt}\left(\dfrac{m_1x_1+m_2x_2}{m_1+m_2}\right) $$
$m_1 \:\: m_2 $ はともに定数なので、
$$\dfrac{dx_G}{dt}=\dfrac{m_1\dfrac{dx_1}{dt}+m_2\dfrac{dx_2}{dt}}{m_1+m_2}$$
ここで、重心の移動速度を $v_G$ として
$$v_G=\dfrac{dx_G}{dt} v_1=\dfrac{dx_1}{dt} v_2=\dfrac{dx_2}{dt}$$
ですから、
$$v_G=\dfrac{m_1v_1+m_2v_2}{m_1+m_2}$$
となります。この式の右辺の $m_1v_1+m_2v_2 $ について、運動量保存則より一定です。
$$m_1v_1+m_2v_2 = 一定 $$
したがって上式の左辺 $v_G$ は一定となり、これは系の重心が等速であることを意味します。
分裂前に静止していたら
物体が分裂前に静止していれば、$$m_1v_1+m_2v_2 =0 $$ となりますから、分裂後の重心も静止しています。
分裂前に等速運動していたら
物体が分裂前に等速運動していれば運動量保存則より、$$m_1v_1+m_2v_2 =(m_1+m_2)V $$ ($V$ は分裂前の物体の運動速度)となりますから、分裂後の重心は分裂前と変わらない速度で等速運動しています。
すなわち、
\begin{eqnarray}
v_G&=&\dfrac{m_1v_1+m_2v_2}{m_1+m_2}\\\\
&=&\dfrac{ (m_1+m_2)V}{m_1+m_2}\\\\
&=&V\\
\end{eqnarray}
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