ホイヘンスの原理
ホイヘンスの原理とは、波の進み方について述べたものです。
これにより、屈折や回折、反射などの現象を説明することが可能です。
用語解説
では、まず用語から、
- 波源・・・文字通り波の源、波が生まれるところです
- 波面・・・位相の等しい点を連ねた面
- 素元波・・波面を無数の波源の集まりとみなしたとき、その点から生じる波
なんだかよくわからない説明ですね ^_^。
もう少し詳しく考えてきましょう。
波面
波源はいいとして、波面から考えます。
波面とは?うまく言えないですが、たとえれば、海でサーフィンするとき「フェイス」といいますよね。
ん?知らない?
サーフィンで波乗りするところです。
フェイスと、物理でいう波面は違います。物理では位相が同じであればどこでも波面です。
しかし、イメージとしてはいいのではないでしょうか。
素元波
波は波源から生まれて、球面状に広がります(2次元で考えると円状に広がります)。
無数にある波源から生まれたひとつひとつの球面波を素元波と呼ぶのです。
ホイヘンスの原理
波面に無数にある点波源から素元波が出される。これらの素元波の共通に接する面が次の波面になる。
こうして波面が伝播していくと考えるのです。
次の波面は円に対する接線の集まりなので、進行方向と波面は必ず垂直になります。←これ重要
屈折の法則
ホイヘンスの原理を用いて屈折の法則を説明しましょう。
屈折の原因は、媒質が変化することにより、波の伝わる速さが変わることが原因です。
境界面で、波の速さが $v_1$ から $v_2$ に変化したとします。
ここでは、仮に $v_2=\dfrac{1}{2}v_1$ としましょう。
次の図のように、もし波の速さが変化しなければ境界面を通過しても、波面はまっすぐに進むはずです。
その場合、波面ABはまっすぐ進んで、図の青い線 $CB’$ が新しい波面になります。
しかし、いまは速さが $\dfrac{1}{2}$ になっているので、進む距離は $\dfrac{\overline{AC}}{2}$ のはずです。
AB の波面が境界面へ到達し、Aが素元波を出し始めます。
Aから出る素元波の大きさは、BがB’に到着するころには、半径 $\dfrac{\overline{BB’}}{2}= \dfrac{\overline{AC}}{2}$ の長さの円に成長しているはずだから、出る素元波は次の図の赤い円(半径 $\frac{\overline{AC}}{2}$ )になります。
素元波と波面は接するはずですから、B’から素元波に向けて接線を引けば、それが新しい波面A’B’です。
こうして波は、境界面で屈折していくと考えられます。
他の素元波も順々に、境界面に到達するので少し遅れて素元波を出します。
そのようすを描くと次の図のようになります。
このとき、図の色を付けた2つの直角三角形を考えます。
ここで、それぞれの三角形について $\sin$ をとります。
$\Delta ABB’\:\: :\:\:\: \sin i =\dfrac{\overline{BB’}}{\overline{AB’}}\:\:\cdots(1)$
$\Delta AA’B’\:\: :\:\:\: \sin r =\dfrac{\overline{AA’}}{\overline{AB’}}\:\:\cdots(2)$
$\dfrac{(1)}{(2)}$ と、辺々割ります。
$\dfrac{(1)}{(2)}=\dfrac{\sin i}{\sin r }=\dfrac{\frac{\overline{BB’}}{\overline{AB’}}}{\frac{\overline{AA’}}{\overline{AB’}}}=\dfrac{\overline{BB’}}{\overline{AA’}}$
よって、
$\dfrac{\sin i}{\sin r }=\dfrac{\overline{BB’}}{\overline{AA’}}\:\:\cdots(3)$
ここで、波の進む速さは違っても、 $\overline{BB’}$ と $\overline{AA’}$ を進む時間は同じです。(同一の波面のため)
その時間を $t$ とすると、 $\overline{BB’}=v_1t$、 $\overline{AA’}=v_2t$ となり、これを式 $(3)$ へ代入します。
$\dfrac{\sin i}{\sin r }=\dfrac{\overline{BB’}}{\overline{AA’}}=\dfrac{v_1t}{v_2t}$
より、
$\dfrac{\sin i}{\sin r }=\dfrac{v_1}{v_2}$
となります。
この $\dfrac{v_1}{v_2}$ は入射角 $i$ や屈折角 $r$ の大きさによらず一定です。
したがって、
$\dfrac{\sin i}{\sin r }=\dfrac{v_1}{v_2}=n_{12}\:\:\: 一定$
として、$n_{12}$ を屈折率と名付けます。
さらに、$v=f\lambda $ であることから($f\; :\; 振動数 ,\: \lambda\; : \; 波長$)、次のスネルの法則を得ます。
$\dfrac{\sin i}{\sin r }=\dfrac{v_1}{v_2}=\dfrac{\lambda_1}{\lambda_2}=n_{12}\:\:\: 一定$
また、光の場合、それぞれの媒質1と媒質2の絶対屈折率 $n_1\:,\:n_2$ とすると、
$n_{12}=\dfrac{n_2}{n_1}$ です。
ここで、$n_1$ が分母、$n_2$ が分子と、
波長や速さと逆になっていることに注意してください。
詳細はこちらを参照してください。
したがって、
$\dfrac{\sin i}{\sin r }=\dfrac{v_1}{v_2}=\dfrac{\lambda_1}{\lambda_2}=\dfrac{n_2}{n_1}=n_{12}\:\:\: 一定$
これを変形して、
$n_1\times \sin i=n_2\times \sin r$
$n_1\times \lambda_1=n_2\times \lambda_2$
$n_1\times v_1=n_2\times v_2$
となります。絶対屈折率を使う場合はこちらの式を使うのがおすすめです。
注意
$v_1\lambda_1=v_2\lambda_2$ とはなりません!
それと、
屈折に際して振動数は変化しません!
スネルの法則から、
$\dfrac{v_1}{\lambda_1}=\dfrac{v_2}{\lambda_2}=f\:\:\: 一定$
コメント