人間の直感とはまこと怪しいものです。
「直感過たず(あやまたず)」なんて言葉もありますが、こと自然法則に関してはそうも言えないようです。
例えば次にあげるクイズを考えてみてください。
まずは直感で・・・。
クイズ ダイコンの水分
では問題です。
ダイコンの水分を考えます。
今、水分が総重量の $95\%$ であるダイコンがあるとします。
そのダイコンを1本 $(1\:\mathrm{kg}\ )$ 、冷蔵庫で保管しています。
保管するうち、ダイコンから水分が失われたため、水分がダイコンの総重量の $92\%$ になりました。
なんだかあまり変わらないような気がしますが、はたして乾燥後のダイコンは何 $\mathrm{kg}$ になったでしょうか?
う~ん、$3\%$ 減ったから $1-0.03=0.97\:\mathrm{kg}=970\:\mathrm{g} $くらいでしょうか?
いいえ、とんでもない!
ダイコンはたぶんしわしわで食べられないかもしれませんよ。
次で検証してみましょう。
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検証してみよう
具体的に考えてみましょう。
ダイコンが $1\:\mathrm{kg}=1000 \:\mathrm{g}$ あるのでした。
その水分量は $95\%$ なので、$1000\times \dfrac{95}{100}=950\:\mathrm{g}$ が水です。
つまり水分以外のダイコンは $1000-950=50\:\mathrm{g}$ しかありません。
さて、乾燥してしまったダイコンの総重量を $m\:\mathrm{g}$ とします。
水分以外のダイコンの量は変化しませんから、 乾燥に際して減るのは水分だけです。
だから、乾燥後にダイコンに残っている水分量は $(m-50)\: \mathrm{g}$ ですね。
したがって、次の式が成り立つはずです。
$\dfrac{m-50}{m}=\dfrac{(95-3)}{100}=\dfrac{92}{100}$
これで、$m$ を計算すると、
$ 100m-5000=92m$
ですから、$m=625\: \mathrm{g}$ しかありません。
つまり、$1000-625=375\:\mathrm{g}$ もの水分が失われた計算です。
これではたぶんしわしわですね・・・・。
水分量 50% では?
では、もし水分が $50\%$ に・・・なんてことになれば、ダイコンの総重量は何 $\mathrm{g}$ ですか?
そうですね!
たったの $100\:\mathrm{g}$ しかないんです。なぜかって、ダイコンの水以外の部分は $50\:\mathrm{g}$ のままですから、水の重量は $50\:\mathrm{g}$ のはずです。
$\dfrac{50}{50+50}\times 100=50\%$
$1\:\mathrm{kg}$ あったダイコンが $\dfrac{1}{10} $ の $100\:\mathrm{g}$ ! 驚きです。
なんでも立ち止まって考える癖をつけよう
$95\%$ から $92\% $ へ、たった $3\%$ の減なのに重量は6割近くまで減ってしまう!・・・。
意外ですね。人の直感とはこのように本当に危ういものなのです。
物理では直感で考えると間違う例がそれこそ、たくさん出てきます。
例えば、グラフ問題などを直感で答えると・・・結果は??ですね。
もっと言えば、思考停止してしまってはダメなのはなにも物理だけではないはずです。
なんでも立ち止まって考えることが大切なのですね。
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