力学は物理のキモ
といわれるように物理学にとって基礎中の基礎とでも言うべき大事な分野です。
もちろん基礎だからといってカンタンなわけでは決してありません。
それどことろか、力学は非常に難解な分野です。
ではどうしたら物理学を効率よく楽しく学習できるようになるでしょうか?
注意ポイントをいくつかあげてみました。
力学は物理学の基本
力学は物理学の基本中の基本です。
しかし初学者にとって、力学はかなり難解です。
なぜ難解か?
人類は、力学の本当に基礎的なことについてでさえ千年単位で時間がかかっているんです。
つまり長い間、人類は間違った自然観にとらわれていたのですね。
その長い苦闘の歴史をすっ飛ばして、現代の物理教科書ではわずか数ページで済ませることも多いのです。
しかし、考えてもみてください。
人類が数千年間、間違った概念を持っていたということは、その概念が非常に強固なものである証拠です。
あなたもまた間違った自然観にとらわれてきたはず(ひょっとして今も)です。
次の記事を参照してください。
ここで述べていることはたぶんあなたも心当たりがあるはずです。いまさら聞けない!重さと質量はどこが違うの?子供のとき、質量という言葉は知っていたけど、重さ(重量)と違うなんて思いもしなかった。 しかも、物理量としては次元の違う概念なんです。 でもこの違いは、とても難しいことなのですが、あまり重要視されているようには思えません。 いったい重さと質...いまさら聞けない!重いものが速く落ちるのか?重いものと軽いものを同時に落としたときにどちらが速く(早く)地面に着くでしょうか?ただし空気抵抗がないとします。 重いものが速く落ちるのか この問題を子供に投げかけてみると、小学校低学年ならほぼ間違いなく「重いもの」と答えるでしょう。 答え...物理の勉強方法とおススメの参考書私学や国公立大学の2次試験での理系の受験科目は、英語、数学、物理、化学、生物が多いですね。このうち理科については物理・化学・生物、または地学のうちから1~2科目選択することがほとんどです。 工学系を志望する人は物理選択が多いのではないでしょ...
したがって、初めて物理を学習する者にとってはその概念を身に着けるのはまさに至難の業なのです。
丸暗記がいやなまじめな人ほど混乱し、物理がわからなくなり嫌いになりやすいのです。
しかしここであきらめるわけにはいきません。
まずはなにがなんでも、力学を徹底的に克服してください。
自分の古い間違った自然に対する考え方を一度打ち壊し、再構築する必要があるのです。
入試においても、力学はかならず1問は出題されます。
物理で力学が苦手・・・というのはまったくもってマズイ状態です。
逆に言えば、力学さえきちんと理解できれば他の分野、熱、電磁気、原子などは理解しやすくなります。
というか力学がわかっていないときちんと理解できないはずです。
熱力、波動、電磁気、原子物理どれにも力学が顔を出してきます。
例えば、熱力学では、気体分子を飛び回るボールと見立てることで、力学的考察によって、気体の圧力とエネルギーを算出しています。ここは、気体の分子運動論として、受験生の頭を悩ます箇所です。
電磁気学でも例えば、物体の抵抗を理論的に求めるために、自由電子を運動する粒子と考えて計算しています。
原子物理にいたっては、ボーア理論では、原子核の周りを電子が等速円運動するとして力学的考察を行っています。これが、後の量子力学建設につながっていくのです。
すなわち、力学がきちんと理解できればその後の物理の学習は容易になります。
したがって、力学という土台があやふやだと、まさしく砂上の楼閣といった言葉がぴったりで、思考力を要する課題を理解することは難しくなります。
では、高等学校物理の力学をマスターするには、効率的な方法あるのでしょうか。
力学学習の効率的な方法
力学を学ぶにあたって、効率的な方法があります。
これが物理の王道です。
それは、ずばり図を大切にすることです。こうかくと、いまさら何を当たり前なことを、、、といわれるかもしれません。しかし、世の受験生を見ていると、「図を大切にしない受験生のなんと多いことか」と驚かされます。
特に初学者にとって、高等学校の物理、力学では作図が非常に重要です。
特に力のベクトル図は長さや向き、作用点まで細かく気をくばってください。
次では作図がダメな例をいくつか見てみましょう。
ダメな例
次の図を見てください。典型的なダメな例です。
ベクトルの重要性をまったく認識していません。
このままではいつまでたってもできるようにはならないでしょう。
ベクトルの長さや方向を正確に描くこと・・・それだけで正解に近づけます。
きちんと、大きさ方向まで気を配って丁寧な作図を心がけましょう。
さて、次の段階でよく間違えるダメな例です。
物理が苦手な人の作図を見ていると、次のような図を描く人が多いことに気が付きます。
どちらも対象物の外力という力以外に必要でないものを描いてしまっています。
外力と内力や、他の物体にはたらく力の区別は結構難しく、初学者のうちは非常に苦労するでしょう。
そして、力の方向を間違えている例です。
この例はちょっと難しいのですが、ここを間違えると正解にたどり着けません。
小物体は右向きに加速度を持つのではたらく力も加速度と同方向です。
これについては、以下の記事を参考にしてください。
これらの例がなぜだめなのか?・・がわかってくると理解が加速度的に進みます。
まずは、こういったところから意識して直していきましょう。
よく、「力学は最初にやらずに電気からがよい」・・などとさも分かったふうに書いているものを見ます。
しかし、はっきり言って電磁気も力学がわからなければ結局わかりません。
物理の王道は力学理解です。
まずは力学の基礎を徹底的に固めることが大切です。
問題集のおススメ
まずは教科書・参考書、そして問題集、最後にもう一度教科書です。