分流器と電流計

電流計、電圧計も検流計も、その基本原理は同じです。

電流計、電圧計も検流計も、計器内のコイルに電流を流し、電流に応じた磁場が生じ、それを外部磁石と反応させて、メーターが振れる仕掛けになっています。

GFDL, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=775245

しかし、そのままでは測定範囲が非常に狭く、実用的ではありません。
そこで、電流計の場合は、分流器を取り付けるのです。

倍率器についてはこちらをごらんください。

倍率器と電圧計
電圧計の仕組みは、電流計と同じで、電流を測っています。 しかし、そのままでは測定範囲が狭く、実用的ではありません。 そこで、倍率器を接続して、測定範囲を広げるわけです。 電圧計の測定範囲を広げるためには、倍率器といわれる抵抗 を、電圧計と直列に接続します。
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分流器と電流計

分流器は電流計の測定範囲を広げるための工夫・仕掛けです。

このとき、電流計と並列に抵抗を接続します。($r_A$ は内部抵抗です)

この抵抗 $R_S$ を「分流器」と呼びます。

注意!
分流器は並列に接続しますが、
電流計装置全体としては、回路に対して直列に接続します。

分流器の考えかた

次の図は、基本的な電流計(検流計)ですが、このままでは、大きな電流を計器に流すと、コイルが振り切ってしまい壊れてしまいます。

そこで、より大きな電流を測定するため、計器にバイパスを作り、電流の抜け道を作ってやります。


例えば
電流計本体に流せる電流の最大値を $0.1\:A$ とします。
これでは、 $0.1\:A$ 以上の電流を流すとコイルが振り切ってしまいます。

今、$0.1\:A$ の10倍である、 最大で $1\:A$ の電流を正しく測りたいとします。
どのようにすればよいでしょうか?

このように考えます

  1. 電流計に流せる最大電流は $0.1\:A$ は変えられない。
  2. 電流計を変えないのであれば、電流計の目盛りが最大の $0.1\:A$ と書いてあるところに $1\:A$ と書いておくしかない。
  3. 電流計と並列に抵抗を接続する。
  4. 計器全体に最大 $1\:A$ 流れた時に、電流計本体にはには最大許容値の $0.1\:A$ だけ流れ、残りの $0.9\:A$ はバイパスを通るように抵抗値を定める。
  5. もともとの電流計の目盛りには $0.1 \rightarrow 1\:A$ と書いておいて、バイパスを通したときは$1\:A$ と読めばよい。 
  6. この装置では最大 $1\:A$ まで計測できるようになった。

これで、$1\:A$ の電流を正しく測ることができるはずです。
あとは、古い目盛りに書かれた値をそれぞれ 10倍した値に書き換えます。


では、一般的な式を考えましょう。

電流計の本体の許容最大電流を $I_0$ とします。

$I_0$ の $n$ 倍の電流 $nI_0$ を測定するには、電流計と並列に抵抗を接続します。

バイパスに $nI_0-I_0=(n-1)I_0$ の電流を流すように抵抗値 $R_S$ の値を決めます。 

この場合、電流計内の内部抵抗を $r_A$ とすると、抵抗 $r_A$ と $R_S$ は並列接続のため、それぞにかかる電圧 $V$ は同じです。

したがって、$V=RI$ より、

$$V=r_A\times I_0=R_S\times \{(n-1)I_0\} $$

これより、

$$R_S=\dfrac{r_A}{n-1}$$

を得ます。

ただし、
このような式を覚える必要はありません

この場合の大事なことは、

バイパスの考え方
抵抗の並列時は電圧が同じ、ということです。

動画

以下、動画にても解説していますので、ご参考に

YouTube 動画解説 電気回路
電気分野も非常に入試でよく出る分野です。 入試の物理で3問出題されるとしたら、 力学 電磁気 の二分野で2問。 そして残りの1問が、波動、熱というパターンが多くなります。(注:最近はこれに原子分野が加わることが目立ちます)

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