高校物理、波動分野でけっこう皆さんを悩ましているものが縦波です。
縦波ってなに?と思いながら、言われたとおりに横波に変換してなんとなく問題を解いているという人も多いのではないでしょうか?
そもそも、なぜ縦波 ⇒ 横波 変換をする必要があるのでしょうか?
それはずばり、見やすくする・・・ためです。
なんだかややこしいと思っていませんか?
実は縦波横波変換というのはとってもカンタンなのです。
一つのことを知っているだけでもう間違いません。
この記事では、縦波と横波の違い、縦波⇒横波変換について考えていきます。
横波とは
まず、横波とは何でしょうか?
これは、一般的な「波」をイメージしてもらえばよいのです。
身近な例で言えば、海の波がそれに近くなります。
あるいは、サッカー場でやる「ウェーブ」ですね。
これは横波の原理を利用しているので、まさしく波です。
このとき、競技場にいる人たちは立ったり座ったりしているだけです。
波と一緒に動いていませんよね。
そんなことをしたらすぐに息切れしてしまいます。
立ったり座ったりするタイミングは、隣の人が立ったら、立つ・・・・そして座るというだけですね。
それだけ・・・・・なんです!なんとシンプルでしょうか!
そうすると、波は自分の立ったり座ったりする方向とは真横の方向に進みます。
ではロープで横波を出してみましょう。
横波では波が進む方向とは垂直にロープを振る(振動させる)ことになります。
縦波とは
それでは、縦波とは何でしょうか?
そもそも、日常生活で縦波横波などという使い分けをすることはまずありません。
それは、日常でわれわれが目にすることができる波のほとんどが横波だからです。
縦波もそこらじゅうに存在するのですが、目に見えてというのは少ないですね。
したがって、私たちは「波」といえば海の波のような横波をまず想像してしまうのです。
ところで、縦波の代表選手といえば、音波です。
音波は目には見えませんよね。
太鼓で音を出してみて、その発生のメカニズムを考えて見ましょう。
この場合、空気が振動する方向と波の進む方向が一致しています。
縦波では媒質を波が進む方向とは同じ方向に振動させることになります。
空気は太鼓の面で一度圧縮されます。その圧縮が次の空気を圧縮します。
こうやって空気の粗密が伝わっていきます。こういった性質から、縦波を別名粗密波ともいいます。
縦波は気体中での液体中でも固体中でも伝わることができます。
また、硬い媒質は振動した後の戻りが速いため硬い媒質ほど波が速く伝わります。
具体的な数値をあげましょう。
音波の伝播速度
空気中 約340 m/s
水中 約1500 m/s
鉄 約5300 m/s
固いものほど速く波が伝わることがわかると思います。
しかし、横波はともかく縦波はどうも見難いですね。
次に縦波と横波の図を示しますが、縦波についてはその振幅、波長ともに一見しただけではわからないと思います。
では、この見難い縦波を見やすくしようというのが、「縦波 ⇔ 横波 変換」なんです。
縦波を横波に変換すると、見ただけで振幅、波長など重要な波の要素が良くわかります。
それだけではなく、波の干渉、重ねあわせ、回折現象などが非常にわかりやすくなります。
逆に変換した横波をもとの縦波にもどすと、その媒質の粗密の状態が良くわかります。
ではどうすれば、縦波を横波のように描くことができるのでしょうか?
原理を知ればカンタンなのです。
もう一度復習すると、
縦波・・・波の進行方向と媒質の振動方向が同じ
横波・・・波の進行方向と媒質の振動方向が垂直
というだけですね。
つまり、縦波と横波では媒質の振動方向が 90° 違うということだけなのです。
横波⇒縦波 変換
まず最初はわかりやすい、横波を縦波に変換する方法について考えて見ましょう。
逆の、縦波を横波に変換する方法はこの逆をやればいいだけです。
では横波の振動方向を縦波の方向に 90° 曲げてしまうことにします。
つまり、振動の中心から 90° だけ時計回りに回します。
なぜ時計回りかわかりますか?
それは振動の正の方向が、
横波では上
縦波では右
としているからです。
つまり、上向き正を時計回りに90° 回してやると右向き正になるからですね。
縦波⇒横波 変換
それでは、見難い縦波を便宜的に見やすい横波に変換するには、逆に縦波の振動方向を横波の振動方向に変えてやればOKです。
縦波の振動方向を横波の方向に 90° 曲げてしまうことにします。
つまり、振動の中心から 90° だけ反時計回りに回します。
そんなことしていいのか? 波がおかしくならないか?なんて思う必要はありません。
あくまでも、便宜的にわかりやすく見えるようにするだけの処置です。
これだけのことなので、よく悩んでいるように、
縦波⇒横波 は反時計回りだったか?時計回りだったか?なんて悩む必要はもうありませんね。
縦波は進行方向と平行に、横波は進行方向と垂直な方向に振動していることだけを理解していれば後はカンタンです。
暗記で乗り切っていた人はこれを機会に原理を理解してください。
こういう理解が、もっと難しい応用問題を解くときにきっと活きてきます。
例題
それでは例題をやって見ましょう。
(ア)最も密な点
(イ) 最も疎な点
(ウ) 振動する速度が右向きに最大の点
(エ) 振動する点の速度が0の点
を図より選んで記号で答えよ。
Thinking time !
Thinking time !
Thinking time !
Thinking time !
Thinking time !
答え
(ア) B F (イ) D
横波を縦波に変換すれば粗密点は明らかです。
(ウ) B F (エ)A C E G
この場合は、波を少しだけ進行させた図を描いてやりましょう。
そうすると最大の速さの点である図のBは上向き、Dは下向きです。
これを縦波に変換するには、これを時計回りに90° 回転させるわけですからB・Fが右向き、Dが左向きになります。
また、横波の頂点であった、A・C・E・G などは速度が0のはずですから縦波にしても同じことです。
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